確定申告で悩まない開業費の処理方法 ※国税局に問合せました
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☆ココ茸☆
開業費は今後の資産!
必ず確定申告のときに入れよう!!
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およそ6人に1人の割合でやっている確定申告。
多くのサラリーマンの方には馴染みが無いと思われますが、それは会社が年末に実施してくれている「年末調整」
個人事業主の方はそんな年末調整なんて誰もやってくれないので、自分でやらないといけません。それが確定申告です。
そんな確定申告について、最初に訪れる「開業費」について疑問が色々あったので調べた結果を解説していきます。
- 1.開業費とは?
- 2.なぜ開業前の領収書まで計算するの?
- 3.開業費にできるものとは?
- 4.開業費にならないもの
- 5.開業費に計上できる期間は?
- 6.開業費の上限は?
- 7.開業費の仕訳方法(国税局に問合せ済:2020年)
1.開業費とは?
開業準備期間中に事業のために要した費用を「開業費(開業準備費)」といいます。
様々な業種がありますが、各々開業日までに各種費用が発生することと思います。
例えば文房具一つ購入しても、開業日までに使用するために必要であるからという理由があるならば、それは費用となります。
要は『開業を決意してから営業を開始するまでにかかった出費分』です。
2.なぜ開業前の領収書まで計算するの?
もちろん無くても良いと思います。
開業費計上する手間が省きたいのであれば、自分のポケットマネーで買ったことにしても良いと思います。
そもそも確定申告は「自己申告制」です。
「私はこれだけの収入があり、費用がこれだけあり、差し引いた所得額はこの額です。」
を申告する作業ですので、脱税する分には国は黙っていませんが、税金を多く払ってくれる分には国はいくらでも受け付けてくれます。
そりゃそうですよね。これを読んでいる人も、払うものは減った方が良いですけども、もらえる給料は予定より多くなっても「ラッキー」って思って貰いますよね?よっぽど正義感のある頑固な人でない限りは。
で、そこで問題なのが開業費です。名前こそ『開業費』とついておりますが、これは経費ではなく資産です。「繰越資産」という勘定科目になります。
この開業までの準備にかかった費用には、特別な取り扱いが認められており、収入から控除することができます(経理上の利益額を減らせる)。
通常の経費はその年の確定申告でしか費用として認められませんが、開業費に関しては資産の科目で一旦処理し、毎年少しずつ任意の額を経費にしていくことができます。
おそらく簿記3級程度の知識をお持ちの方であれば聞いたことはあるはずです。「償却」です。
この償却ができるからこそ、開業費に価値があります。
ですので、開業前からしっかりと領収書は全部残しておきましょう。
3.開業費にできるものとは?
基本的には開業にかかった費用は「全部」です。私的利用は当たり前ですが開業費にはできません。以下のようなものが開業費にあたります(一例)。
- 消耗品費(文具類など)
- 打ち合わせ代
- 調査費(開業にかかる店舗調査やセミナー参加、書籍代、ガソリン代など)
- 通信費(ネット回線や電話代など)
- 広告宣伝費
- 備品(ただし10万円未満)
- 関係先へのお土産代
- 店舗などの賃貸料
- 公共料金
などなど、挙げるとキリがありません。
基本的には「全部」ですが、最終的には税務署から「これは費用として必要なものでしたか?」と問い合わせや指摘を受けてもしっかりと納得のいく説明ができるものに限られます。
これは開業費以外、開業後にかかった経費として処理する場合でも考え方は全く同じです。
常識の範囲内かどうかを今一度考えてみて、領収書の山を必要・不要に分けることから始めましょう。開業費のジャッジは自分自身(ただし税務署も納得する内容に限る)です。
4.開業費にならないもの
「全部」とはいいましたが、開業に必要なものであっても認められないものもあります。
5.開業費に計上できる期間は?
開業したい!と思って準備を開始した日から、開業日までの期間です。
開業したいと思った日も、開業日もどちらも自分自身で決めることができます。
…というと、じゃあ5年も10年も前の領収書も~♪
とはなりません。
当然ですが、「3.開業費にできるものとは?」でも説明したように、常識の範囲内で税務署から指摘を受けても納得のいく説明ができる場合に限られます。
本当に5年も10年もかけてじっくりと開業準備をしたのであれば頑張って税務署の方を説得してくださいね。
なので、明確な期間は決まっていないため、自由に決めることができますが、確定申告は1年間の申告を行うものなので、遡るのは約1年ぐらいまでが妥当と思われます。
6.開業費の上限は?
これも経費の範囲や期間と同じで、開業費として必要であった額が全てですので、上限はありません。
なので、これも常識の範囲内というのが答えになります。
店舗やサービスカーといった高額品の購入履歴が一つも無いのにも関わらず、1000万も開業費です!といったら税務署はどう判断するでしょうか…?
7.開業費の仕訳方法(国税局に問合せ済:2020年)
開業費がどういったものなのか?開業費の取り扱い方がわかったところで、実際に確定申告時の仕訳方法についてです。色々調べていったところ、ある疑問点に引っかかりましたので、それと共に解説していきます。
仕訳の基本は1つずつ
仕訳をする上で基本となるのが
- 「領収書単位」で1つ1つ個別に仕訳
- 「領収書の発生日(記載日)」に仕訳
が基本です。
ですので、例えば
05/07(借方)開業費 10,000円 (貸方)事業主借 1,0000円 摘要欄:消耗品
05/20(借方)開業費 10,000円 (貸方)事業主借 10,000円 摘要欄:会議費
06/02(借方)開業費 11,000円 (貸方)事業主借 11,000円 摘要欄:消耗品
と仕訳をすると思っておりました。
ですが、開業費は開業日に仕訳をすることとなっております。
これでは開業日にしか買い物ができない!?
そんな馬鹿な話はありません。
矛盾点は疑問なので、然るべき場所で確認をとりました。
国税局に問い合わせてみた(2020年2月27日現在)
コチラから最寄りの税務署を検索し、電話にて問合せてみたところ、丁寧に回答して頂けました。
回答結果としては、
開業にかかった費用の合計額を1つの仕訳にまとめて計上
でした。
つまりは、上記の例にある3行の仕訳でいくと、
(借方)開業費 22,000円 (貸方)事業主借 22,000円
で大丈夫です。
仕訳の基本はあくまでも開業日以降の分であって、開業日以前は1行でまとめて仕訳して問題ないとのことでした。
これでみなさんも気兼ねなく個人事業ライフを開始できますね。
それではまた。
※万が一間違っているところなど有りましたらコメント欄にてご指摘下さい。